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2012年10月5日

休遊地活用プロジェクト「246common」

先月、8月に青山にオープンした246commonに寄ってみました。

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表参道の交差点から離れ、246通りを外苑方面に歩くとビルとビルの間に突然青空マーケットが出現します。2010年に商業施設が撤退した後、しばらく休遊地だった場所がコミュニケーション・スペースをテーマに移動式飲食・物販店で構成された屋台村のようなものになっています(期間限定(2014年3月まで))。区の駐輪場の出入口の横にあり、都会のニッチとなっているような場所です。

L字型の敷地の手前側246通り寄りのエリアには、合板でつくった車輪付き小屋式店舗、キャンピングカーや移動販売車などで成り立つ様々な業種のお店が集まってカジュアルな雰囲気な醸し出し、奥にはどこかの古い日本家屋の一部を移築したような店舗が集まり、手前と奥で趣を変えていました。

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この都会の休遊地を有効活用しようとするコンセプトは環境、DIY、ノマド的な視点から良いと思いましたが、コミュニケーション・スペース的にはどうでしょうか?空間、運営的にまだまだいろいろやれる、もっとやってほしい感じがしました。

私が訪れたのがお昼まえ。まだ人もまばらで、店舗もまだ仕込み中といった感じ。なんだかとてものんびりしています。夜のcommonはどうなのでしょうか、今度は夜に寄ってみようかと思います。

246common


2012年9月4日

ICCキッズ・プログラム2012
ひかり*くうかん じっけんしつ

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2日の日曜日に、東京オペラシティにあるNTTインターコミュニケーション・センター(ICC)で開催(9月2日まで。現在終了)されていた、アート・ユニット、パーフェクトロン(クワクボリョウタ+山口レイコ)による「ひかり*くうかん じっけんしつ」の展示を見に行ってきました。

エントランスのトンネルを抜け、暗い会場に入ると、小さな作品2つと実験3つが展示されていました。その中から2つほど紹介します。

1つ目は<小さな作品2 ポップアップ・ルックアップ>

暗い小部屋に小さな机が1つ。そこに小さな白い本が3冊。ドウスルンダロウ?本のようなので開いてみると、切り絵状になった立体的な小さな家がLED照明からの光とともに本から飛び出し、家の陰影が展示室の壁や天井いっぱいに広がる。まるでその小さな家の中にいるような感覚になり、ファンタジー映画のワンシーンのようで、オモシロイ。

2つ目は<実験3 そとから・なかから>

暗い小部屋の中に白い街の模型。その街中にレールが敷かれ、光の電車がゆっくりと移動する。その移動する光の電車に照らし出された建物や牛の模型の影が電車の移動に伴って壁面で大きくなったり小さくなったり。街の作り方によってさらにオモシロクなりそう。

ひかりとくうかんがテーマのこの展示は、「物体に光が当たると影ができる」という私たちが日常的に目にし普段あまり意識していない自然現象を使って、その光と物体の関係やあり方で光と影の新たな世界を作り出していました。影が壁や天井など部屋全体に展開するので空間的にも3次元的な広がりがあり、かなり建築的な作品で興味を引きました。キッズ・プログラムだけどオトナも再発見、楽しめました。

パーフェクトロンの作品に出会う機会があったらぜひ体験してみてください。

あと同じくICCでオープン・スペース2012(入場無料)というイベントが開催中(2013年3月3日まで)です。これもオモシロイです。機会があったら見に行ってみてください

NTTインターコミュニケーション・センター(ICC)
HP:https://www.ntticc.or.jp/index_j.html


2012年7月18日

京都精華大、ザゴ・スタジオレビュー

久々の更新です。
先月25日に京都精華大で行われたザゴ・スタジオのミッドレビューにゲストジュリ―として参加しました。

ザゴ氏はアメリカ・ロサンゼルスを拠点に活動している建築家でロサンゼルスの南カリフォルニア建築大学(以下サイアーク)で建築デザインとアーバニズムを教えています。京都精華大学はサイアークと提携し、学生だけでなく教授レベルでも活発な交流をおこなっていて、今回、京都精華大学の学生はサイアークで行われているスタジオと同等のプログラム課題に取り組んでいました。

imageレビュー中のザゴ氏

具体的には、デジタルデザインにおけるエクストルージョン(押し出し)の概念を再考し、新しく独創的なアーキテクチャーシステムとジオメトリーを製作することが課題として与えられていました。しかもフォントのシェイプ(かたち)から分析されたフォーム(かた)を発見し、そこから発展させた新たな文字を「押し出し」て、新たな建築空間を創造することが求められていました。学生達はこのような難しい課題に悪戦苦闘しながらも積極的に取り組んでいました。

デジタルツールによって単にカッコ良いデザインをつくるために用いられるデザイン手法はよく見られましたが、それに対しフォームを分析してそこから生まれるプロファイルを様々に押し出して、新たな空間をつくるというデザイン手法は日本ではこれまで行われてこなかったと思われます。しかし欧米諸国では単にスキンをつくる旧世代のデジタルデザインに対し、それよりも先を行くポストデジタルデザインというものがすでに行われています。

私は設計するうえで、意識的に非デジタルとデジタルを使い分けていますが、このスタジオのレビューで講評しながら、サイアークやコープヒンメルブラウでデジタルデザインに積極的に取り組んでいた頃を思い出したりして、とても刺激的な一日でした。


2012年4月24日

サスティナブルエリアデザイン
~コミュニティアーキテクツについて~

近年「コミュニティアーキテクツ」という考え方が広まりつつあります。
「コミュニティアーキテクツ」とは地域の価値をあげるべく地域に根ざした活動している人々のことです。

この言葉は元々イギリスで生まれました。1980年代、イギリスでは失業や貧困からくる暴動が頻発し、インナーシティにおけるコミュニティの崩壊が顕在化しました。この80年代の暴動を機にイギリスではコミュニティアーキテクチュア運動と呼ばれるインナーシティのコミュニティ再生運動が活発化しました。つまりコミュニティアーキテクツの取り組みはそもそもインナーシティの荒廃を改善させるために始められました。

コミュニティアーキテクチュアと従来型建築の違いは明確化されています。端的にいえば従来型建築はトップダウンのプロセスに対し、コミュニティアーキテクチュアはボトムアップのプロセスとなります。そのためコミュニティアーキテクチュアは、インナーシティの荒廃を招いたとされる在来型建築とは全く違うものと認識されています。

日本では、地域の居住者がコミュニティの開発・環境の改善に関わり、その計画・デザイン・事業をコントロールするプロセスを支援もしくは誘導する建築家や専門家のことをそう呼んでいるようです。

日本でも空き家問題等地域におけるコミュニティ問題はありますが、イギリスのようなコミュニティの荒廃に対する取り組みというよりは居住環境や経済的な活性化がコミュニティアーキテクチュアの主題になっていると思われ、近年、建築家や専門家が手掛ける周辺環境や地域性を重視した建築、街づくりが増えています。そして地域固有の手法でまちづくりしそのまちを活性化させる担い手としてコミュニティアーキテクツの役割が期待されています。

2011年9月のUIA(国際建築家連合)の東京大会でも「コミュニティアーキテクツ」をテーマとしたシンポジウムが開催され、それ以降、コミュニティアーキテクツという言葉を聞く機会も増えています。しかし私もコミュニティアーキテクツについてのシンポジウムに積極的に参加していますが、実際のところ、日本ではコミュニティアーキテクツとは何で、具体的にどのような役割が求められているのかが明確になっておらず、わかりにくい存在となっています。

そのため私は、コミュニティアーキテクツは住民主体によるエリアマネージメントの立場から地域の価値を高める役割と環境負荷を減らす役割を担うべきだと考えています。そしてコミュニティアーキテクツが地域住民と一体となって地域の価値を維持し、環境負荷の低減を積極的に行うことにより持続可能なまちをつくることができると思っています。

ここでコミュニティの範囲も考えておかなければなりません。価値を指標とすることで価値の影響範囲が1つのコミュニティの単位になると言えます。人口・世帯減少で空き家の増加が予想される中、地域は生き残りをかけて価値の創出に努力すべきで、コミュニティアーキテクツは価値創出を客観的指標にすることでそれに関連する行政、開発業者等のステークホルダーからのフィーも期待できるようになります。そしてその枠組みをつくることがコミュニティアーキテクツにとって最も重要な役割の1つになるでしょう。

人口増加の時代は「個」を意識すれば良かったのですが、人口減少の時代は「個」に加え、いかに「群」をつくるかが重要となります。この「群」がコミュニティであり、この枠組みの整備がコミュニティアーキテクトに最も求められているのではないでしょうか。


2012年3月28日

UDCK(柏の葉アーバンデザインセンター)

先日、日本建築学会関東支部住宅問題専門研究委員会の見学会で、柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK)に行ってきました。

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アーバンデザインセンター(UDC)とは近年各地で、行政、市民、地域の各主体が連携し専門家も交えたまちづくりを行う拠点や組織のことを言います。 UDCKのある柏市・柏の葉エリアでは主に柏市、三井不動産、東京大学が主体となり、公共・民間・大学が連携・協働して持続可能な都市を目標にまちづくりを実践しています。

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つくばエクスプレスの駅があるこの柏の葉エリアは新しく開発されているエリアです。 そのためこれから良好な住環境をどのようにつくっていくかが模索されており、次世代環境都市の実現に向け、UDCKが中心となって具体的な施策に取り組んでいるようです。

たとえば、市内に自転車ポートを設置し自転車を共同利用することで、温暖化防止、エリアの住環境の向上を図る「かしわスマートサイクル」や↓、

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様々な電化製品がモバイル化されている現代社会において新しいコンセントのあり方の考え、商業空間や公共空間などまちなかに設置されているコンセントから給電を受けられる「公衆電源サービス」などが実践されています。↓

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まちづくりと言えば、日本が人口増加・経済成長の時代に計画されたまちではシャッターが閉まったままの商店街や管理の行き届いていない空き家等が増加しさまざまな問題を引き起こしています。そのため人口・世帯の減少の時代に突入した近年、多くの地域や自治体は当時のまちづくりの手法とは異なる新たなまちづくりの手法を模索しています。その中で注目されているのがエリアマネージメントです。エリアマネージメントとは良好な住環境を形成するためにみんなで一定のルールをつくる仕組みです。このエリアマネージメントによって、良好な環境が維持され、地域の価値が高まることが期待されています。

柏の葉エリアにおけるUDCKは大学が主体となるという独自性をもち、地域住民も巻き込んだ公民学連携の地域マネジメントに取り組んでいます。その他、2008年に設立された神奈川県横浜市の横浜アーバンデザイン研究機構(UDCY)、福島県田村市の田村地域デザインセンター(UDCT)、福島県郡山市の郡山アーバンデザインセンター(UDCKo)も東京大学と連携し、大学が主体となったまちづくりのネットワークが全国に広がっています。

このような取り組みを実践、持続させていくための財政的なバックアップも欠かせません。UDCKの場合は民間企業の三井不動産、UDCTの場合は田村市、UDCKoの場合は民間企業のラボットプランナーが運営資金の支援に大きく関わっているようです。

今後、新たなまちづくり、持続可能なまちづくりを継続的に行うためには、民間営利企業に加え、住民ひとりひとりが資金面にも関わり合いながら公・民・学が連携してまちづくりができる仕組みづくりが必要だと思います。

UDCK(柏の葉アーバンデザインセンター)
HP:https://www.udck.jp/


2012年3月12日

Stammtisch SHIBUYA@港区生涯学習センター

先月2月24日に港区生涯学習センターで開かれたスタムティッシュ渋谷という勉強会にてアメリカのミックスト・インカム住宅について発表してきました。

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この会のスタムティッシュ(Stammtisch)とは、ドイツ語で「決まったテーブル」という意味で、ドイツには決まった日に決まった仲間が、決まったテーブルに集まって、持ち寄った話題で語ろうという習慣があり、そこからこの会が名づけられています。 その日に行けば、誰かが必ずそこにいて話ができる。そのような趣旨のため、毎回建築系に限らず、様々な分野の人々がこの会に集まり、レクチャラーによる様々な分野の発表に対して参加者で話し合います。

その会で私は、博士(工学)を取得したときの主題であるロサンゼルスのミックスト・インカム住宅について発表し、グローバリゼーションの進行により、世界中で貧困と移民の問題が顕在化していることや、アメリカの、貧困からくる居住地のスラム化を根絶するための住宅対策で異なる所得層の住人で構成されている集合住宅、ミックスト・インカム住宅について話してきました。

発表後、参加者から対象世帯数や家賃等についての多くの質疑が出て、日本ではまだ馴染みの少ないミックスト・インカム住宅ですが、関心や興味を持ってもらうことができました。

今まで貧困からくる住宅問題は公共住宅が重責を担っていましたが、貧困の拡大、政府の財政的な問題やニンビズム等により、現在公共の力だけでこの問題に対処することは難しくなっています。民間が私有財産の一部を社会的に活用して貢献する仕組みのこのミックスト・インカム住宅は現代の住宅問題の一つの対応策として今後も注目すべきシステムであり、こういう機会等でもっと多くの人に関心を持ってもらえたらと思います。


2012年1月16日

メタボリズムの未来都市展

今回はもう終わってしまいましたが六本木ヒルズ・森美術館で開催中だった「メタボリズムの未来都市展」のお話をします。

「メタボリズムの未来都市展」は1960年代に日本で建築家黒川紀章や菊竹清訓らが都市の未来像を説いた「メタボリズム」という建築思想・運動の作品展です。メタボリズムは新陳代謝を意味し、生命が新陳代謝をするように建物にも時代と共に改変できる柔軟性のある生命のシステムが参照され、デザインに取り入れられました。当時は人口増加、経済成長による急速な都市化が社会背景となる中で、その変化に柔軟に対応する思想としてメタボリズムが提唱されたと言えます。
しかし現在の日本はメタボリズムが提唱された当時とは逆の社会で、人口減少、世帯減少、経済不安等がある中で、どのような建築的提案ができるかを考えなければなりません。このように時代のベクトルが真逆な方向を向いていた中で、今、メタボリズムから何を再認識することができるのかを考えながら展覧会を鑑賞しました。

人口増加時代と人口減少時代ではいずれの場合も拡張や収縮という変化を伴うため、メタボリズムは現代でも参照できると思われます。当時はスケルトンとインフィルの関係をシステムと捉えていましたが、人口増加の要請に応える中で、そのシステムに縛られ、ある部分では、計画の自由度が損なわれていたように見えました。その中で建築家槇文彦らが言う、グループフォーム(群造形)は今、自分でも実践しているところでもあり、群造形は統一感のある住環境をつくるヒントになると感じています。また持続可能な住環境を維持するための住民主体によるルール形成の手法として近年注目を集めている住環境マネージメントなどとも関連性があると感じました。建築家レム・クールハースも今年9月に出版された「Project Japan: Metabolism Talks」という本で、メタボリズムを語り、注目しています。今から50年以上前に生まれた思想ですが現代の今でもメタボリズムから目が離せません。

この展覧会では建築家黒川紀章によるカプセルホテルの原型とも言える1972年に竣工した中銀カプセルタワービル(このタワーはメタボリズム思想のもとに建てられ現存しますが、思想に反して新陳代謝することなく将来的に建て替えが決定しています…)のカプセルのモックアップが六本木通り沿いに展示されていました。

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このカプセルの内部は忠実に再現され、当時のビジネスエリートをイメージして飛行機のコックピットのような室内に今では時代物となってしまったタイプライターなど、当時の先端的なアイテムが置かれていました。1968年のキューブリック監督の映画「2001年宇宙の旅」にでてくる未来像と重なって、この時代に共通する未来像が感じられました。この内装や備品をみると、過去から見た未来像と自分たちのいる現在との距離が近いところと、大きく異なるところがあり、その時間による距離感を楽しむことができました。

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展覧会は模型やパネルが多く展示され、結構見応えがあったうえ、メタボリズム思想の概要が集約されていてメタボリズムという思想を知るには良い企画だと思いました。

森美術館
HP: https://www.mori.art.museum/jp/index.html

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